女性精神科医(90代&50代)による子育てのコツ~『うまいこと老いる生き方』奥田弘美・中村恒子著より
90歳まで精神科医として働いた中村先生と、色々なアドバイスを受けてきた50代の奥田先生が、生き方や子育てなどについて、様々な患者さんを診てきた経験から語り合った本の第2弾です。医師として母としての共通点があり、また時代の違いによる感じ方にも納得できるものがあります。今回は「働く母親が子育てで気を付けること」について、体験に基づくお話をご紹介しましょう。(各々2人の息子有・敬称略)
*子孫のために美田を買わず~子供たちに遺すべきはお金ではなく、知恵。
奥田:お子さんたちには何を遺してあげたいと考えられていますか?
中村:大した遺産はないけど、残ったものは子供たちで等分に分けろと言ってあるな。大した金額やない。私は元々財産を子供たちに残そうなんて、考えてこなかったからね。むしろ遺産なんかほとんどない方が、子供のためになると思ってきた。
奥田:それ、とってもよく分かります。以前、精神科医として診た患者さんで、「親の遺産で海外旅行に行って、ひと月で1000万円使った。それを続けていたらお金が無くなって、うつになった」という人に出会ったことがあります。億単位の遺産を相続したようですが、そんな使い方をしていたら、あっという間になくなってしまいます。
中村:そうや、昔から親が子供に資産を残しすぎると、ろくなことにはならへん。お金を儲ける苦労を知らない者にお金を持たせたら、あっという間に使い切ってしまうんや。このパタ-ンは今も昔も同じやね。せやから私は、自分の稼いだお金は、子供たちが自活できる能力をつけるために使おうと決めていたので、教育にはできる限りお金をかけてきたつもり。
奥田:何より大切なのは、子供が1人で生きていく力をつけることですよね。そのためにも、人付き合いの妙や社会をサバイバルするためのスキルを、親が伝える時間を作るべきですね。いくら高学歴でも、人間関係のスキルが足りないばっかりに、社会人になったとたんに、うつ病や適応障害になってしまう人も診てきました。
中村:そうそう。大切なのは、いかに図太く世の中を渡っていくかよ。
奥田:先生はどうやって伝えたんですか?
中村:とにかく子供を見守る時間を長くして、ストレスからSOSを出したら、すぐに応えるようにしていたかな。ストレスに対処する方法というのは、教科書に載ってないからな。その子の性格や置かれた環境によっても違ってくる。側で見守って、いざという時にはいつでも相談に乗ってあげる雰囲気作りだけは、心掛けていた気がするね。
奥田:私も働きながら2人の男の子を育て、大学生と高校生になりましたが、小さい頃から今まで、できるだけ彼らの側にいて見守る時間は大切にしてきました。男の子だから何でも話してくれるわけではありませんが、見守ることで「今日は表情や態度が変だな」ってピンときます。そのタイミングを逃さず、意識して一緒に過ごす時間を増やしていると、自然と向こうから「こんなことあったんだけど」と、口火を切ってくれることがよくありました。おかげでイジメなどのトラブルを何回も防げました。
中村:そのタイミングが大事なんや。そこを見逃さなければ、子供は親が始終構ってやらなくても、自然にすくすく育っていくよ。
奥田:これも先生の教えあってのことです。長男を出産して1年経たない時に先生と出会って、「患者さんにとっては医師はたくさんいるけど、子供にとってはお母ちゃんは1人だけやから、仕事より子供のことを今は大切にしてあげなさい」って、アドバイスをいただきました。
中村:そんなこと言うたかな?(笑)子供にとっては母親や父親と一緒に生きる中で、日常生活を通じて色んな「生きる技」を受け取りながら成長するもんで、そのためにはできるだけ見守る時間を増やすしかないんよ。かく言う私も子供が小さかった時、次男が服の端をつかんで、「仕事に入ったら嫌や~」って泣いていた顔は今も忘れられへんね。(実家の両親に見てもらっていた)
奥田:保育所も十分になかった時代に、先生はご主人の分まで稼がないといけなかったから仕方ないですよね。(家に生活費を入れなかった)
そんな中でも当直室からお子さんに電話したりと、精一杯見守る努力をされてこられたから、お二人とも立派な社会人になられたと思います。
私はよく子育て中のワ-キングマザ-に対して、「比べない」「焦らない」「頑張りすぎない」の3つの「ない」でいきましょうってアドバイスしています。子育てに時間がとられて仕事が思うようにできなくても、心身に負担をかけて頑張りすぎない。子供が親の見守りを必要としなくなるまでは、腹を据えて子供と付き合ってあげましょうって。
中村:「比べない、焦らない、頑張りすぎない」か、先生、うまいこと言うな。
奥田:これは先生や先輩ママから聞いたアドバイスをまとめた言葉なんですよ。
中村:昔から言うように「子孫のために美田を買わず」。大切なのは、生き抜いていく知恵と根性を身につけさせてあげることやからね。
いかがでしたか。「子孫のために~」は聞いたことがあります。「自分で稼がずにお金を持つとろくなことにならない」という戒めを、先生は心に留めておられるのですね。先祖の資産を受け継いだ人を羨ましく思うこともありましたが、手続き、税金、維持していくための労力など、それ相応の苦労も伴うようで、単純に「人と比べる」のはよくないことなのでしょう。「比べない」「焦らない」「頑張りすぎない」の3原則は子育てに限らず、人生において大事なことではないかと思いました。
*子孫のために美田を買わず~子供たちに遺すべきはお金ではなく、知恵。
奥田:お子さんたちには何を遺してあげたいと考えられていますか?
中村:大した遺産はないけど、残ったものは子供たちで等分に分けろと言ってあるな。大した金額やない。私は元々財産を子供たちに残そうなんて、考えてこなかったからね。むしろ遺産なんかほとんどない方が、子供のためになると思ってきた。
奥田:それ、とってもよく分かります。以前、精神科医として診た患者さんで、「親の遺産で海外旅行に行って、ひと月で1000万円使った。それを続けていたらお金が無くなって、うつになった」という人に出会ったことがあります。億単位の遺産を相続したようですが、そんな使い方をしていたら、あっという間になくなってしまいます。
中村:そうや、昔から親が子供に資産を残しすぎると、ろくなことにはならへん。お金を儲ける苦労を知らない者にお金を持たせたら、あっという間に使い切ってしまうんや。このパタ-ンは今も昔も同じやね。せやから私は、自分の稼いだお金は、子供たちが自活できる能力をつけるために使おうと決めていたので、教育にはできる限りお金をかけてきたつもり。
奥田:何より大切なのは、子供が1人で生きていく力をつけることですよね。そのためにも、人付き合いの妙や社会をサバイバルするためのスキルを、親が伝える時間を作るべきですね。いくら高学歴でも、人間関係のスキルが足りないばっかりに、社会人になったとたんに、うつ病や適応障害になってしまう人も診てきました。
中村:そうそう。大切なのは、いかに図太く世の中を渡っていくかよ。
奥田:先生はどうやって伝えたんですか?
中村:とにかく子供を見守る時間を長くして、ストレスからSOSを出したら、すぐに応えるようにしていたかな。ストレスに対処する方法というのは、教科書に載ってないからな。その子の性格や置かれた環境によっても違ってくる。側で見守って、いざという時にはいつでも相談に乗ってあげる雰囲気作りだけは、心掛けていた気がするね。
奥田:私も働きながら2人の男の子を育て、大学生と高校生になりましたが、小さい頃から今まで、できるだけ彼らの側にいて見守る時間は大切にしてきました。男の子だから何でも話してくれるわけではありませんが、見守ることで「今日は表情や態度が変だな」ってピンときます。そのタイミングを逃さず、意識して一緒に過ごす時間を増やしていると、自然と向こうから「こんなことあったんだけど」と、口火を切ってくれることがよくありました。おかげでイジメなどのトラブルを何回も防げました。
中村:そのタイミングが大事なんや。そこを見逃さなければ、子供は親が始終構ってやらなくても、自然にすくすく育っていくよ。
奥田:これも先生の教えあってのことです。長男を出産して1年経たない時に先生と出会って、「患者さんにとっては医師はたくさんいるけど、子供にとってはお母ちゃんは1人だけやから、仕事より子供のことを今は大切にしてあげなさい」って、アドバイスをいただきました。
中村:そんなこと言うたかな?(笑)子供にとっては母親や父親と一緒に生きる中で、日常生活を通じて色んな「生きる技」を受け取りながら成長するもんで、そのためにはできるだけ見守る時間を増やすしかないんよ。かく言う私も子供が小さかった時、次男が服の端をつかんで、「仕事に入ったら嫌や~」って泣いていた顔は今も忘れられへんね。(実家の両親に見てもらっていた)
奥田:保育所も十分になかった時代に、先生はご主人の分まで稼がないといけなかったから仕方ないですよね。(家に生活費を入れなかった)
そんな中でも当直室からお子さんに電話したりと、精一杯見守る努力をされてこられたから、お二人とも立派な社会人になられたと思います。
私はよく子育て中のワ-キングマザ-に対して、「比べない」「焦らない」「頑張りすぎない」の3つの「ない」でいきましょうってアドバイスしています。子育てに時間がとられて仕事が思うようにできなくても、心身に負担をかけて頑張りすぎない。子供が親の見守りを必要としなくなるまでは、腹を据えて子供と付き合ってあげましょうって。
中村:「比べない、焦らない、頑張りすぎない」か、先生、うまいこと言うな。
奥田:これは先生や先輩ママから聞いたアドバイスをまとめた言葉なんですよ。
中村:昔から言うように「子孫のために美田を買わず」。大切なのは、生き抜いていく知恵と根性を身につけさせてあげることやからね。
いかがでしたか。「子孫のために~」は聞いたことがあります。「自分で稼がずにお金を持つとろくなことにならない」という戒めを、先生は心に留めておられるのですね。先祖の資産を受け継いだ人を羨ましく思うこともありましたが、手続き、税金、維持していくための労力など、それ相応の苦労も伴うようで、単純に「人と比べる」のはよくないことなのでしょう。「比べない」「焦らない」「頑張りすぎない」の3原則は子育てに限らず、人生において大事なことではないかと思いました。
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