「母」の悩み:ルーズな母であると思っている人&母の言いなりに育って母になった人~『橋本治のかけこみ人生相談』より
今回は「母」になった人からの相談です。働きながら3人の子育てをする母と、母親の言いなりに育って母になり、母親の支配から解放されたいと望んでいる人からです。(本文より抜粋)
*共働きで子育て中。産休を3回取り後輩に抜かれ、ダラダラ過ごして太ってしまった。(36歳女性・会社員)
【Q】子供が3人(7、4、0歳)いて共働きです。今の会社には創業時からいて古株です。資格もなく3度も産休を取れば、後から入った人たちに抜かされるのは当然なのですが、「こんなに頑張っているのに」と思ってしまいます。資格を取ろうという気力もわかず、ダラダラ毎日を過ごしています。何も考えない時間は食べている時だけで、ブクブク太っています。周りからは「子供がたくさんいて幸せだね」と言われますが、ハッキリ言って周りの人たちの方が幸せに見えます。いつも満足できずダラダラしていて、子育てもいい加減で子供には申し訳なく思います。ダイエットでも資格取得でもやるぞ!という気力はどうやって出せるのでしょうか。
【A】何か不満があるようですが、周りの人たちが言うように「子供がたくさんいて幸せだ」と思うのが一番だと思います。そう思えば、あなたの悩みはなくなってしまいます。「3度も産休を取れば、抜かされるのは当然」とおっしゃっています。問題は「資格のあるなし」ではなく、「3度の産休」にあるのだから、「それで幸福になれた」と考えた方が建設的で、理にかなっていると思います。
「何も考えない時間は食べている時だけ」というのは、正確には「私はこれでいいんだろうか?」と余分なことを考えてしまうから、物を食べて余計なことを考えるのを抑えているのではないかと思います。「私には別に不満はないんだ。昇進で後輩に抜かれても、子供が3人いるし亭主もいるんだから、これでいいんだ。何を焦っているんだろ?」と考えれば、余分なものを食べて考えを追い払う必要もなくなります。
たとえばの話ですが、子供にとって母親は少しいい加減な方がいいのです。母親が「いい加減じゃいけない、ちゃんとしよう!」と考えると、「押しつけがましい強圧的な母親」になってしまいます。哀れな子供は「お母さんの悪口を言ってはいけない」と思って、母親に従って萎縮するだけです。「お母さんはいい加減なんだから」と思うと、自分から進んで色々なことをやるようになります。子供を意識的な人間にするには、「親のいい加減さ」が必要なのです。
「自分はいい加減だから資格も取れない」と焦っているようですが、資格なんて子供に手がかからなくなってから取ればいいわけで、「私にはまだ先の楽しみもあるのか」と思って、悠然と構えているのが一番だと思います。あなたは「子育てもいい加減で、子供に申し訳ないと思います」と言われるだけの「いいお母さん」なんですから。
*母親に逆らわずに育ち、子供を連れて実家に帰省するのが憂鬱(40歳女性・主婦)
【Q】進学や就職も母親の言うとおりにしてきました。帰りが遅くて気に入らないという理由で、気に入っていた勤め先を辞めさせられ、親の見つけてきた会社に転職させられたりもしました。今は結婚して電車で5時間ほどの遠方に暮らしていて、帰省するのは年に1~2回です。夫は優しくて大らかな性格で安定した職業についているので、今は毎日とても快適ですが、母は夫が気に入らないようで(実家から遠方に就職したから)罵詈雑言を浴びせます。父親は夫を気に入っているのですが、母の報復が怖いのか庇ってくれません。35歳独身の弟がいて、遊興費の借金を両親が肩代わりしたりして可愛いようです。帰省するのが憂鬱で、今年のお盆は子供たちだけで実家に行かせました。孫は可愛いようですが、もう夫の悪口は聞きたくありませんが、我慢して行った方が良いでしょうか?両親は、遠くに住む私たちは親不幸だと言います。
【A】お子さんたちだけを行かせて、あなたは実家へ帰らなければいいのです。行かせる前に電話を入れて「私は行きたくない」と、はっきりお母さんにおっしゃるべきです。そうすると「なぜ?」と聞かれます。「お母さんが嫌いだから」そうすると「なぜ?何言ってるのよ!」と返ってきますから、「だって私の彼が嫌いでしょ。悪口を聞いて嬉しいわけないんだから、帰らない!」とおっしゃればいいのです。そうすればお母さんは本格的に騒ぎ出して訳の分からないことを話し始めるので、その前にすかさず、思いつく限りの「嫌な記憶」をぶちまけるのです。
「お母さんは自分勝手に色々なことを私に押しつけた」という、思いつく限りのエピソ-ドを感情が爆発したように言い続けて、お母さんには「あんた何言ってるのよ!」や「だって」以外のことを言わせないようにして、言うだけ言って一方的に電話を切ってしまうのです。お母さんはあなたが前から怒っていることを知りません。
考えているのは「娘は私に尽くすために存在している」です。そういう考え方をして「私は間違っていない」と思い込んでいます。だから「それは間違っている。私は被害者で、ずっと嫌な思いをし続けてきた」と、一度はっきりとおっしゃった方がいいのです。
お母さんは多分外面は良くて近所の評判は悪くなく、その分家族に対して強圧的でしょう。どういう根拠があるのか知らず、弟さんのことを「有望だ」と思って可愛がり、現在なおも彼をダメにし続けているようです。その内弟さんが困った問題を起こして、とばっちりが飛んでこないように、今から「お母さんが悪い、お母さんが嫌いだ」と言っておくようにした方がいいと思います。
遠くに住んで実家との距離があることが幸いです。お母さんは「娘の都合や気持ちを考えなかった」とはまったく思っていません。「娘のために良かれと思っていた」としか考えていないので、「娘に嫌われる理由はない」と思っているのですから、「嫌な母親であるのは今も変わっていない」ということを教えるつもりで、何遍も言った方がいいでしょう。
時には「何てひどいことを言うの」と泣き落としにもかかるでしょう。魔女の呪いを解くには、「相手の言うことに耳を傾けない」ことが必要です。毅然とした態度を取りましょう。あなたが40年間「何でも言うことを聞く娘」を演じてきたおかげで、お母さんは「何でも言うことを聞く娘だ」と思い込んでしまったのです。気の利いた子供だったら、もっと早い段階で反抗的になって「悪い親の改善」を図ったりするのですが、あなたはグレることなく結婚まで母親を増長させてきたので、お母さんはピンと来ないのです。
近くに住んでいれば反撃もひどくなりますが。どうぞ何遍も同じ話を繰り返して、お母さんが「分かった」と言わぬまでも、黙るまでは続ける必要があるでしょう。
いかがでしたか。反抗期がなくて、大人になって問題が起こると解決が難しいのは、それだけ年数が経っているからなのかなと、この話から思いました。でも今気づいてよかったのかもしれませんね。孫が成長して自分の意思を持つ時までに、解決しておいた方がよいように思いますが。それにしても「良かれと思ってしていた」「悪気がなかった?」だけに、気づいた時のショックは大きいのではないかと、母親も少し哀れに思いましたが、身に覚えがあるからでしょうか。
では今日の文字を書きましょう。


*共働きで子育て中。産休を3回取り後輩に抜かれ、ダラダラ過ごして太ってしまった。(36歳女性・会社員)
【Q】子供が3人(7、4、0歳)いて共働きです。今の会社には創業時からいて古株です。資格もなく3度も産休を取れば、後から入った人たちに抜かされるのは当然なのですが、「こんなに頑張っているのに」と思ってしまいます。資格を取ろうという気力もわかず、ダラダラ毎日を過ごしています。何も考えない時間は食べている時だけで、ブクブク太っています。周りからは「子供がたくさんいて幸せだね」と言われますが、ハッキリ言って周りの人たちの方が幸せに見えます。いつも満足できずダラダラしていて、子育てもいい加減で子供には申し訳なく思います。ダイエットでも資格取得でもやるぞ!という気力はどうやって出せるのでしょうか。
【A】何か不満があるようですが、周りの人たちが言うように「子供がたくさんいて幸せだ」と思うのが一番だと思います。そう思えば、あなたの悩みはなくなってしまいます。「3度も産休を取れば、抜かされるのは当然」とおっしゃっています。問題は「資格のあるなし」ではなく、「3度の産休」にあるのだから、「それで幸福になれた」と考えた方が建設的で、理にかなっていると思います。
「何も考えない時間は食べている時だけ」というのは、正確には「私はこれでいいんだろうか?」と余分なことを考えてしまうから、物を食べて余計なことを考えるのを抑えているのではないかと思います。「私には別に不満はないんだ。昇進で後輩に抜かれても、子供が3人いるし亭主もいるんだから、これでいいんだ。何を焦っているんだろ?」と考えれば、余分なものを食べて考えを追い払う必要もなくなります。
たとえばの話ですが、子供にとって母親は少しいい加減な方がいいのです。母親が「いい加減じゃいけない、ちゃんとしよう!」と考えると、「押しつけがましい強圧的な母親」になってしまいます。哀れな子供は「お母さんの悪口を言ってはいけない」と思って、母親に従って萎縮するだけです。「お母さんはいい加減なんだから」と思うと、自分から進んで色々なことをやるようになります。子供を意識的な人間にするには、「親のいい加減さ」が必要なのです。
「自分はいい加減だから資格も取れない」と焦っているようですが、資格なんて子供に手がかからなくなってから取ればいいわけで、「私にはまだ先の楽しみもあるのか」と思って、悠然と構えているのが一番だと思います。あなたは「子育てもいい加減で、子供に申し訳ないと思います」と言われるだけの「いいお母さん」なんですから。
*母親に逆らわずに育ち、子供を連れて実家に帰省するのが憂鬱(40歳女性・主婦)
【Q】進学や就職も母親の言うとおりにしてきました。帰りが遅くて気に入らないという理由で、気に入っていた勤め先を辞めさせられ、親の見つけてきた会社に転職させられたりもしました。今は結婚して電車で5時間ほどの遠方に暮らしていて、帰省するのは年に1~2回です。夫は優しくて大らかな性格で安定した職業についているので、今は毎日とても快適ですが、母は夫が気に入らないようで(実家から遠方に就職したから)罵詈雑言を浴びせます。父親は夫を気に入っているのですが、母の報復が怖いのか庇ってくれません。35歳独身の弟がいて、遊興費の借金を両親が肩代わりしたりして可愛いようです。帰省するのが憂鬱で、今年のお盆は子供たちだけで実家に行かせました。孫は可愛いようですが、もう夫の悪口は聞きたくありませんが、我慢して行った方が良いでしょうか?両親は、遠くに住む私たちは親不幸だと言います。
【A】お子さんたちだけを行かせて、あなたは実家へ帰らなければいいのです。行かせる前に電話を入れて「私は行きたくない」と、はっきりお母さんにおっしゃるべきです。そうすると「なぜ?」と聞かれます。「お母さんが嫌いだから」そうすると「なぜ?何言ってるのよ!」と返ってきますから、「だって私の彼が嫌いでしょ。悪口を聞いて嬉しいわけないんだから、帰らない!」とおっしゃればいいのです。そうすればお母さんは本格的に騒ぎ出して訳の分からないことを話し始めるので、その前にすかさず、思いつく限りの「嫌な記憶」をぶちまけるのです。
「お母さんは自分勝手に色々なことを私に押しつけた」という、思いつく限りのエピソ-ドを感情が爆発したように言い続けて、お母さんには「あんた何言ってるのよ!」や「だって」以外のことを言わせないようにして、言うだけ言って一方的に電話を切ってしまうのです。お母さんはあなたが前から怒っていることを知りません。
考えているのは「娘は私に尽くすために存在している」です。そういう考え方をして「私は間違っていない」と思い込んでいます。だから「それは間違っている。私は被害者で、ずっと嫌な思いをし続けてきた」と、一度はっきりとおっしゃった方がいいのです。
お母さんは多分外面は良くて近所の評判は悪くなく、その分家族に対して強圧的でしょう。どういう根拠があるのか知らず、弟さんのことを「有望だ」と思って可愛がり、現在なおも彼をダメにし続けているようです。その内弟さんが困った問題を起こして、とばっちりが飛んでこないように、今から「お母さんが悪い、お母さんが嫌いだ」と言っておくようにした方がいいと思います。
遠くに住んで実家との距離があることが幸いです。お母さんは「娘の都合や気持ちを考えなかった」とはまったく思っていません。「娘のために良かれと思っていた」としか考えていないので、「娘に嫌われる理由はない」と思っているのですから、「嫌な母親であるのは今も変わっていない」ということを教えるつもりで、何遍も言った方がいいでしょう。
時には「何てひどいことを言うの」と泣き落としにもかかるでしょう。魔女の呪いを解くには、「相手の言うことに耳を傾けない」ことが必要です。毅然とした態度を取りましょう。あなたが40年間「何でも言うことを聞く娘」を演じてきたおかげで、お母さんは「何でも言うことを聞く娘だ」と思い込んでしまったのです。気の利いた子供だったら、もっと早い段階で反抗的になって「悪い親の改善」を図ったりするのですが、あなたはグレることなく結婚まで母親を増長させてきたので、お母さんはピンと来ないのです。
近くに住んでいれば反撃もひどくなりますが。どうぞ何遍も同じ話を繰り返して、お母さんが「分かった」と言わぬまでも、黙るまでは続ける必要があるでしょう。
いかがでしたか。反抗期がなくて、大人になって問題が起こると解決が難しいのは、それだけ年数が経っているからなのかなと、この話から思いました。でも今気づいてよかったのかもしれませんね。孫が成長して自分の意思を持つ時までに、解決しておいた方がよいように思いますが。それにしても「良かれと思ってしていた」「悪気がなかった?」だけに、気づいた時のショックは大きいのではないかと、母親も少し哀れに思いましたが、身に覚えがあるからでしょうか。
では今日の文字を書きましょう。
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